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宮城県登米市迫町佐沼光ヶ丘30(登米祝祭劇場)
夏休みを控えた、ある日の放課後。水の里中学校では、1学年の各クラスの代表者が集まり、秋の文化祭で発表する劇の内容を話し合っていた。
演目は登米市の民話『お月さまとお星さま』。
積極的に意見を述べる人。それを批判する人。仕方なく参加している人。
議論の中、サチは見るとはなしに校庭を眺めていた。
内向的で自分に自信が持てないサチは、絵がうまいというだけで代表に選ばれたのだ。
「私は背景の絵を描くだけ。ただ、それだけ…」
それよりもサチは、身の回りで最近起きている奇妙なことが気になっていた。夏なのに桜の花びらが風に乗って飛んできたり、雪だるまが追いかけてきたり…。
サチはすっかり忘れていたのだ。7年前の約束を。
サチを待っている人がいることを、登米の大地を守る精霊たちが、必死で伝えようとしていたのだった。