第12回公演について |
あらすじ |
12月のとある晴れた日曜日。登米市迫町佐沼の中江中央公園で毎年恒例の「全国はっとフェスティバル」が開かれた。会場では郷土料理のはっとや類似料理のほうとう、ひっつみなどが販売され、来場者たちの体を温めていた。 その会場の一角に、開局したばかりのコミュニティラジオ局「H@!FM(はっと・えふえむ」が生中継のブースを構え、東京から訪れた男にはっとにまつわる思い出をインタビューし始めていたそして……この男の「はっと物語」が動き出した。 東京大空襲の前の昭和19年暮れ。信一少年は首都の戦火を逃れるため、仲間たちと学童疎開で登米に来ていた。だが、疎開先では食料が乏しく、辛い日々の連続だった。そんな時、地元の農家の人が疎開の子供たちに食事を振る舞う「おばさんの日」を開き、信一たちを招いた。だが、信一 は空襲で母や妹を失い、心に傷を負っていた。そこへ、地元の人たちの作った温かいはっと汁が振る舞われる。初めて食べたはっと汁の温かさに、頑なだった信一の心が溶け出した。 それから数年後の東京。信一は料亭で板前修業をしていた。下働き続きの辛い日々だったが、信一には夢があった。「いつか立派な料理人になって、あの時食べたはっとのように、人々を感動させる料理を作りたい」という夢だった……。 ■劇中歌「はっと抓み唄」 歌詞はこちら |
原作について |
●「はっと」は小麦粉を練ってつくる登米地方の郷土料理です 小麦粉に水を加え、耳たぶ程度のかたさになるまでよく練り、適当な時間(季節により異なります)寝かせる。そして、その熟成した生地を指で薄く延ばしながら醤油仕立ての汁に入れて茹で上げます。 また、お湯で茹でて、あずき、ずんだ、ジュウネン(エゴマ)などに絡めることもあります。 ツルツル、シコシコの食感がやみつきになる郷土料理、それが「はっと」です。 ●「はっと」はバリエーションが多彩です 出汁や具材は登米地方の中でも地域や家庭によりさまざま。季節の野菜やきのこ類、鰹節、煮干し、鶏、豚など、母から子へ代々受け継がれた家庭の味です。 具の中で地域を二分するのが油麩と油揚げの存在。よい出汁がとれるこの二つの食材はまさに東西の横綱です。 特に油麩は、小麦粉からとれるグルテンが主原料。今では全国でも珍しい食材となったこの油麩が、登米地方で今なお食され続けているのは、同じ小麦の「はっと」文化にも関係がありそうです。 |
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